★なぜ語彙力が大切か
『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(著:山口 謠司)という本を知っていますか?
この本が流行っている背景には、多くの社会人の方が「自分って語彙力ないなー」とどこかで思うきっかけがあったからだと思います。
皆さんは自分には「語彙力」が備わっていると思いますか?
「よく話し方を馬鹿にされるし、自分にはないかも」「テレビや新聞を見ていてよくわからい言葉がある」「会議や先輩が話している言葉が難しく感じる」そんな風に思っている方も多くいるでしょう。
では、そもそも語彙力の「語彙」ってなんでしょうか。広辞苑では
〔vocabulary〕ある一つの言語体系で用いられる単語の総体。
言語体系をどのように限るかによって、内容が変わる。
日本語という限り方をすれば、日本語の単語全体を意味し、漁村・農村あるいは特定の職業など、ある領域に限れば、その領域内で使われる単語の全体を意味し、ある個人に限れば、その人の使う語の総量を表す。
つまり私たちが個人として使うとすると「語彙が多い」のように、使える日本語の単語の量という感じでしょう。
つまり「語彙力」とは、言葉の意味を理解して使う力、というように略せるのでしょう。
一昔間前に流行った「ボキャ貧」という若者言葉は「語彙=ボキャブラリーが貧困」というように、いつも「すごいー!」「かっこいいー!」など、同じ言葉しか使わない人のことを表していましたね。
皆さんは「ボキャ貧」と呼ばれた若者達を見てどう思いましたか?
「なんか頭悪そうだな」なんて思ったのではないでしょうか。
著者の山口さんは語彙力が必要な理由に、「社会人としてのレベルを、語彙力で測られる現実があるから」だと記しています。
例えば、どんなに良い企画を出したとしても、稚拙な表現をしていたり、言葉の表現が一辺倒であったりすると、それだけで社会人としてのレベルを低く見られてしまうということです。
「実力社会」になってきたと言われているかもしれませんが、実力の中には能力やアイディアだけでなく、こういった「基礎力」も含まれているのだと思います。
今回は、社会人として必要な語彙力に焦点を当てて、基礎力をアップする「語彙」と使い方をご紹介していきます。
今回は「プレゼンテーションで使える語彙」です。
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★相関関係と因果関係
「相関関係」と「因果関係」の違いをしっかり理解できていますか?
どちらもビジネスの場でよく使われる言葉だと思います。
しかし、大きな違いのある言葉です。
例えば、どちらの使い方が正しいと思いますか?
「学力が高い」ことと「仕事ができる」ことには因果関係があるよね
「ん?どっちも正しいように感じる」という方もいるでしょう。
つまり、私たちはどちらを使っても同じだと思っており、相手に誤解を与えていたり、しっかりと資料を読みとけていない可能性があるということです。
では2つの意味をしっかり確認しましょう。
【相関関係】
相関関係というのは「相(あ)い関する」と読むことができるように、「互いに関係しあう」という意味です。
一般的には「一方が変化すれば、他方も変化する」という意味です。
つまり、何らかの科学的な規則性が発見されているということです。
【因果関係】
因果関係の「因果」というのは「原因」と「結果」を合わせたものです。
つまり、「ある原因によって、ある結果が起こる」ということです。
原因がしっかりと特定されていることが重要になってくるということです。
では、この2つの意味をもとに先程の例文を見てみると
「学力が高い」ことと「仕事ができる」ことには相関関係があるよね
「学力が高い」ことと「仕事ができる」というのは、何らかの規則が発見されているということですね、と読みとけます。
これは実際にも学術的にみて緩い相関関係があることが分かっているようです。
「学力が高い」ことと「仕事ができる」ことには因果関係があるよね
「学力が高い」ことが必ずしもある原因によって「仕事ができる」という結果を生み出している、ということが明らかになっているということが必要です。
不特定多数の結果では、学力が高い人を集めると、仕事ができる人が多かっただけで、その原因は本当に学力が高かったからというのはわかっていません。
つまり「学力が高い」ということが必ずしも「仕事ができる」ということにはつながらない場合は、因果関係というのは使えないのです。
つまり「相関関係=因果関係」ではないということですね。
相関関係を使って何かを行うときは、は確率を増やすために、因果関係は同じ結果を得るために使っていけばいいのではないでしょうか。
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★チャンク・アップとチャンク・ダウン
「チャンク・アップ」と「チャンク・ダウン」この2つは最近よく聞くようになってきた言葉ですが、しっかり理解して使えているでしょうか?
まわりの人が使っているから、わかったふりして、なんとなく使っていませんか?
例えば、自動車販売の仕事をしているあなたの、営業成績があまり上がらないことに対して、上司からこんなアドバイスを受けたらどう行動したらいいでしょうか。
お客様の要望をチャンクアップしてみて。
お客様の要望をチャンクダウンしてみて。
この2つ、言葉は似ていますが行う行動は全く違うものになります。
チャンク(chunk)という言葉は英語では、厚切りのパン、チーズや肉の大きな塊を表します。
チャンクアップは細かいものを塊にすること、チャンクアップは塊をほぐすことです。
チャンクアップは小さい事柄から大きな事柄と考えるということです。
イメージとしては、チャンクアップは抽象化すること、チャンクダウンは具体化することというようなイメージでしょう。
そう考えると、先程の例ではどういう意味を表しているでしょうか、見ていきましょう。
しっかりとお客様の話をチャンクアップして聞いてごらん。
車を買いたいお客様に対して「なぜ買いたいのか?」「車を持つことでどうなりたいのか?」という質問をすることで、お客様の車を買いたいという目的を明確にしていくことがチャンクアップです。
しっかりお客様の話をチャンクダウンして聞いてごらん。
車を買いたいお客様に対して、「予算はいくらなのか?」「希望メーカーはあるのか」「誰が乗るのか?」「1日の走行距離はどのくらいの予定なのか」など購入における条件を明確にしていくことがチャンクダウンです。
チャンクアップとチャンクダウンはどちらがいい、というわけではなく、その場その場に応じて必要だと思う使い方をしていくことが大切です。
しかし、ビジネスの場ではよく使われる言葉なので、しっかり覚えておくといいでしょう。
「言いたいことがあるのに上手く言葉で表せない」こういった経験は誰しもあることだと思います。
語彙力を聞くと「なんかカッコつけている」と感じる方もいるかもしれませんが、自分が言いたいことを言葉にするために色々な表現の仕方を知っておいて損はないです。
そんな気持ちで、1つ1つ吸収していってはどうですか?
(参考)
山口 謠司「語彙力がないまま社会人になってしまった人へ」2017年(ワニブックス)
「学力が高い」ことと「仕事ができる」ことには相関関係があるよね