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★糖尿病の症状と原因
飲み会の後に、シメでラーメン。
ラーメンのついでに、チャーハンも・・・
そんな炭水化物のオンパレードで引き起こされる病気の一つが『糖尿病』ですね。
炭水化物は美味しいですし、しかも早く食べることができて、なおかつ安い。
「早い・安い・うまい」の三拍子揃ってしまっています。
もちろんこれで身体によければとても嬉しいのですが、、、そんな上手い話はありませんね。
厚生労働省の調査によると、糖尿病予備軍の方は約2000万人いると言われています。
そんな身近に存在している『糖尿病』とは一体どういった症状・原因なのか、そしてどういった基準を元に診断されるのかについて見てみましょう。
血液中のグルコース(血糖)が増加して血管疾患を起こすのが糖尿病です。食事をすると血糖値が上昇しますが、インスリンというホルモンが分泌されて低下していきます。
しかし糖尿病になると、そう上手くはいきません。インスリンの分泌が不足したり効きにくくなったりして高血糖状態が続きます。
高血糖状態が長く続くと、非常い危険で、毛細血管が障害を起こし、腎臓や網膜などに合併症を起こします。合併症とはどう意味かというと、「ある病気が原因となって起こる別の病気」という意味です。
例えば、「糖尿病が原因となって、動脈硬化が引き起こされ、脳梗塞が起こる」という場合は、脳梗塞は合併症ということです。
つまり、高血糖状態が長く続くと、腎臓や網膜の毛細血管が障害を起こしやすく、それが原因となって病気が生じるということですね。
糖尿病の怖いところは、自覚症状がほとんどないところです。糖尿病の典型的症状(口渇・多飲・多尿・体重減少)が現れた時は、すでに病気が進行している可能性が高いので注意が必要です。
血糖値が高くなる原因は、多くの場合『食べ過ぎ』によるもので、特にお菓子やジュースといった完食の取りすぎです。
以下は、糖尿病の診断基準(日本糖尿病学会糖尿病診療ガイドラインより)です。
糖尿病の診断基準
〜糖尿病の診断基準パターン①:『高血糖』 + 『ヘモグロビンA1c』〜 『高血糖』 ア:空腹時血糖値 126mg/dL以上 イ:随時血糖値 200mg/dL以上 ウ:75gブドウ糖負荷試験(2時間値) 200mg/dL以上 *ア〜ウのうちどれか1つでも当てはまると高血糖 『ヘモグロビンA1c』 HbA1c 6.5%以上 *ヘモグロビンA1cとは「赤血球中のヘモグロビンの内どのくらいが糖と結合しているか」を表す値 どちらとも満たしていると、糖尿病と診断 |
〜糖尿病の診断基準パターン②:『高血糖』 + 『糖尿病症状』〜 『高血糖』 ア:空腹時血糖値 126mg/dL以上 イ:随時血糖値 200mg/dL以上 ウ:75gブドウ糖負荷試験(2時間値) 200mg/dL以上 *ア〜ウのうちどれか1つでも当てはまると高血糖 『糖尿病症状』 糖尿病の典型的症状(口渇・多飲・多尿・体重減少)、または確実な糖尿病網膜症がある *糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつ。日本では成人の失明原因の第一位となっている。 どちらとも満たしていると、糖尿病と診断 |
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★現在のトレンド 「食後血糖値」とは?
最近注目を集めている健康状態を表す数値の一つとして、「食後血糖値」というものがあります。意味はその名の通り食事をとった後の血糖値です。
食事をとった後は、血糖値が上昇しますが、健康な人であれば2時間後には、140mg/dL未満に血糖値が下がります。これはインスリンが正常に働いているためです。
しかし、糖尿病の場合だとコントロールが効かずに、140mg/dL以上の値が続きます。
この状態を「食後高血糖」といい、糖尿病による合併症(糖尿病が原因で起こる病気)のリスクが高まります。
また糖尿病の初期段階では、空腹時の血糖値が正常でも、食後高血糖が見られることがわかっています。先ほど、糖尿病の診断基準にて「75gブドウ糖負荷試験(2時間値)」を測定していましたが、この食後高血糖状態であるかどうかを見るためだったのですね。
ちなみに75gブドウ糖負荷試験の詳細は以下です
75gブドウ糖負荷試験
〜75gブドウ糖負荷試験(75gOGTT)〜 ①検査当日の朝まで10時間以上絶食した空腹のまま採血し、血糖値を測る。 ②次に、ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの、またはデンプン分解産物相当量)を飲む ③ブドウ糖負荷後、30分、1時間と2時間後に採血し、血糖値を測る。 *ただし、自覚症状などから明らかな高血糖が考えられる患者さんに75gOGTTを行うと、さらに高血糖を引き起こすリスクがあるため、この検査は糖尿病診断に必須ではない。 |
それでは、「食後血糖値」を上げない方法はないのか?
炭水化物の過剰摂取を避けることが第一ですが、食事のバランスを整えることで、食後血糖値を上げにくくすることができます。
その名も『ピザ効果』です。
ピザ効果
ピザと聞くと、少し身体に悪そうなイメージがありますが、食後血糖値という観点だけで見ると、非常に参考にすべき点があるのです。
具体的に見ていきます。
脂質やタンパク質を炭水化物と一緒にとると、血糖の上昇が緩やかになることが医学的にわかっています。例えばピザの場合、小麦粉(炭水化物)、オリーブオイル(脂肪)、チーズ(タンパク質)がセットになっているので、血糖値は食後5~7時間経ってから上がってきます。
糖尿病の診断基準パターン①に登場した、『ヘモグロビンA1c』は食後の血糖値と密接に関係しているため、食後の血糖値が上がりづらいピザの場合は、ヘモグロビンA1cの値は低くなります。
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★血糖値が高い人への栄養対策と目標
では現在血糖値が高い方はどう栄養対策をして目標を立てていくといいのでしょうか?
まず理解しておこなくてはいけないことは、「栄養対策が特に有効なのは2型糖尿病である」ということです。糖尿病の種類については以下を見てみてください。
糖尿病の種類
〜1型糖尿病〜 原因:インスリンをつくっているすい臓のβ細胞が壊れてしまう 自分の体内でインスリンをつくりだすことができなかったり、ごくわずかしかつくれないので、体の外からのインスリン注射が絶対的に必要。子供の糖尿病の多くは1型糖尿病だが、最近では、あらゆる年齢層に起こる可能性あり。突然発症する傾向あり。 |
〜2型糖尿病〜 原因:すい臓がつくるインスリンの量が少ない場合と、インスリンの働きが悪い場合、そしてそれらが混ざって発症する 日本人の成人の糖尿病の約95%がこのタイプ。自覚症状がないため、会社などの健診でみつかる場合が多い。以前は、中高年の人に発症することがほとんどだったが、食生活をはじめとするライフスタイルの欧米化により、今では若い人や子どもにも増えている。発症に関係する危険因子は、年齢、肥満、飲酒、喫煙、運動不足、遺伝、高血圧、ストレスなど。 高血圧や高血圧に近い血圧値を示す人は、血圧が正常な人に比べて糖尿病を合併する割合が高いことが報告されている。脂質異常症(高脂血症)に糖尿病を合併すると、脳卒中、狭心症や心筋梗塞などが起こるリスクが高くなる。 |
〜妊娠糖尿病〜 妊娠をきっかけに、血糖値が高くなるなどの糖尿病の症状があらわれるのが妊娠糖尿病。しかし、妊娠前、すでに糖尿病と診断されている患者さんは妊娠糖尿病とはよばない。 |
〜特定の原因によるその他の糖尿病〜 膵β細胞機能やインスリン作用にかかわる遺伝子に異常があるもの、ほかの疾患(内分泌疾患、膵外分泌疾患、肝疾患)や、ステロイドの服用などにともなって発症するものが該当。 |
つまり、2型糖尿病とはライフスタイルが元となって発症しており、だからこそライフスタイル、特に食生活を正しく見直すことで効果があります。
BMIと高血糖対策
ただし、血糖値が高くても、BMIが22以下の人はエネルギー制限は不要です。炭水化物のみを今より少なくします。BMIとは体重と身長の関係から人の肥満度を示す体格指数です。
指標 |
判定 |
~18.5 |
低体重(痩せ型) |
18.5~25.0 |
普通体重 |
25.0~30.0 |
肥満(1度) |
30.0~35.0 |
肥満(2度) |
35.0~40.0 |
肥満(3度) |
40.0~ |
肥満(4度) |
肥満の場合(BMIが25以上)も基本は炭水化物の制限です。その上で、主食・主菜・副菜をバランスよく食べることが大切です。
そして特に大切なのは、オリーブオイルや魚の油をしっかりとることです。『ピザ効果』でも出てきたオリーブオイルにプラスして魚の油は不飽和脂肪酸とよばれていて、オリーブオイルは一価不飽和脂肪酸(パルミトレイン酸・オレイン酸)、魚の油は多価不飽和脂肪酸(α-リノレン酸・ドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA))と分類されています。
特に魚の油である多価不飽和脂肪酸は体内で合成できない、もしくは必要量が合成されないため、必須脂肪酸と呼ばれています。これらの油には血糖値を上げにくくする働きがあり、現在血糖値が高い方にとってはとても必要な栄養素です。
例えば、野菜サラダにオリーブオイルをかけて先に食べると、食後の血糖値が上がりにくくなります。
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★これってどうするの?Q&Aコーナー
「理論的な対策は分かったけど、こんな時どうしたらいいんだろう?」
「理想論はわかるけど、会社の付き合いもあるし、何かいい方法ないかな…」
という声にお答えして、Q&Aコーナーを作成しました。
ランチ編
Q1. 会社の同僚によくランチに誘われます。炭水化物のとり方はどうしたらいいですか? Best!! 炭水化物を制限し、主食・主菜・副菜をバランスよく食べるのが原則です。野菜サラダはドレッシングではなく、オリーブオイルと一緒に。ご飯の量は、1食あたり女性は80~100g(お茶碗0.5杯)、男性は100~150g(お茶碗1杯)くらいに制限してください。 *一般的なお茶碗で1杯150gです。 Better! 炭水化物を制限できない場合もありますよね。そういった場合は、炭水化物だけでなく、おかずも必ずとりましょう。ざるそばより天ぷらそばの方が実は血糖値が上がりにくいです。 |
お菓子編
Q2. お菓子が我慢できません!お菓子の食べ方を教えてください。 Best!! 空腹時に甘いものを食べると、すぐに糖分が吸収されてしまい血糖値が上がります。なので、お菓子を食べるのはやめてください。 Better! おやつは美味しいですよね。ただおやつは夕食までに1日1回、炭水化物が少ないものであれば食べてもOKということにしましょう。オススメはピーナッツやアーモンド、無糖のビターチョコレート。最近は炭水化物を控えたものがあるので、食品表示を見て選んでみてください。 |
飲み会編
Q3. 接待で飲み会がいっぱいあります。お酒の飲み方で気をつけることは? Best!! アルコールだけでは血糖値は上がりません。しかし炭水化物を含むビール・日本酒・カクテルなどを飲むと血糖値が上がります。ですのでそれらのお酒はやめ、ウィスキー・焼酎といった蒸留酒を飲みましょう。 Better! 場合によっては、ビールじゃないと失礼になる…なんてこともありますよね。どうしてもビール・日本酒などの炭水化物を多く含むお酒を飲む場合は、焼き鳥など炭水化物の量が少ないおつまみを食べてください。 |
残業のときの夕食編
Q4. 残業続きでいつも夕食を食べるのが23時を超えています…いつ夕食を食べるのがいいの? Best!! 外食でもいいので、早い時間(18~19時)に食べてしまいましょう。少なくとも寝る時刻の3時間前までには食べておくようにします。外食の場合は、Q1を参考にしてみてください。 Better! 残業している時に自分だけ外食に行くなんてことが難しい場合もありますよね。そんな時は、油や炭水化物、タンパク質を含み、200kcal未満の低糖質のお菓子・スープ・サンドイッチなどの軽食を先に食べておきましょう。帰ってから、魚・豆腐・野菜などのおかずを軽めに食べるのがオススメです。 |
高血糖状態が続くと糖尿病のリスクが増えます。食事で血糖値をコントロールし、炭水化物に注意していきましょう。
健康は失ってから、初めてその大切さに気づくものです。
健康第一という気持ちで、自分のコンディションを整えていきましょう。
(参考)足立香代子「栄養学の基本がまるごとわかる事典」2016年(西東社)
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