『健康づくりは人生をつくること』食と運動の両面から健康を届ける 〜株式会社aider目黒代表〜

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「あなたのおかげで第二の人生をもらえたわ」

実家は八百屋、将来的には継ごうと思っていたので、フィットネス業界には専門学校時代 から興味ありませんでした。ただ学校の先生がトレーナーのバイトを探していて、女性と話すのが苦手だった私にとっては、このトレーナーという仕事が良いリハビリになるのではと思って始めたのがきっかけでした。

そのスタジオは、名古屋で最初にインストラクターの養成コースを始めたスタジオで、一般のお客様も入会できるのですが、将来インストラクターになりたいというような、比較的意識が高い方が集まる、コアなフィットネスクラブでした。

その上、当時のフィットネスクラブは今ほど健康づくりのために行うという意識は少なく、レジャー要素が強かったため、スタジオにみえるお客様もハードなサービス(エクササイズ)を求める割合が多かったと記憶しています。

その頃を振り返ると自分は誰のため、何のためにサービスを提供したいのか分かっていなかったですね。それでも、トレーニング指導や解剖学の講義など、健康づくりに関する基礎的な話をする機会が多かったので、「この業界が持つポテンシャルは世の中にとって良いものなのだろうな」と薄々理解していました。ただ心はついていっていないというモヤモヤした感覚でした。

そんな私の気持ちは一人のお客さまをきっかけに大きく変わります。

女性のお客様向けパーソナルトレーニングコースを担当して数年が経った頃、60代半ばのおばあちゃんが入会されたんですね。それまでのお客さまは若い女性ばかりだったので、何をすればよいのか、どう接すればいいのか、初めてで戸惑ったのを覚えています。

「膝が悪くて、歩くのもままならなくて。それに体重も増えてしまって…」

こういった悩みを聞いて、その悩みに基づいてメニューを作り、トレーニングはスタートしました。もちろん今まで全くトレーニングをされたことがないので、やればやるほど結果が出ました。

ある日、そのおばあちゃんがトレーニング開始時間ギリギリになって、施設の階段を駆け上がって来たんです。「ごめん!遅れちゃった〜」と。こんなに変わるのかと思いましたね。

トレーニング最終日に、おばあちゃんから「あなたのおかげで第二の人生をもらえたわ」と言ってもらえたんです。嬉しかったですけど、当時20代半ばの私には「体重落ちたくらいで大げさじゃない?」とも思いました。しかし、しっかり聞いてみると、『歩けないから旦那さんと旅行に行くことを断念していたこと』、『3階建ての家に住んでいて、本当は日の当たる3階に洗濯物を干したい。だけど登れないから、仕方なく日が当たらない1階に干していたこと』など、諦めていたこと、仕方なく行なっていたことがたくさんあったんです。

運動の効果が出たことで生活しやすくなり、人生までが豊かになったんだと話してくださったことで、私の仕事に対する考え方が変わりました。我々がしていたのは、筋肉をつけること、痩せさせることではなく、人生づくりなのだとおばあちゃんが教えてくれたんです。

 

覚悟を決めた29歳。 Lifitの設立

「今後こんなニーズ増えるかもな?」と思い、サービスを広げていくための勉強を本格的に始めました。ただ私1人で取り組んでも、サービスを提供できる数が知れていると思ったんです。

スタジオでインストラクターをしている仲間たちにも同じような出来事があったと知り、提供できる方法を増やす必要があると確信しました。そこで、初めてインストラクター派遣の仕事に興味がわき、派遣業務を担当し始めました。取引先の施設はどんな様子なんだろうと思い、取引先にも足を運び始めましたね。

一方その頃、インストラクター養成所も増えてきて、勤めていた会社の経営が厳しくなってきたんです。「転職活動でもしないとな…」と思っていたら、一緒に仕事していたインストラクターから「このまま解散してしまうのは勿体無いから、みんなで続けることはできないか?」と相談を受けました。そうしてLifitがスタートしました。29歳の時でしたね。20代最後に覚悟を決めた年でした。

 

簡単に軌道に乗ったからこそ難しい、「なぜやるのか?」

とても幸運なことに、設立と同時に、現お取引先の施設と契約させていただくことになりました。当時恥ずかしながら、経営理念やビジョンなどがなかったので、仲間の分の給料を稼ぐという最低ラインを目標にしていました。そして、すぐに最低ラインを達成し、軌道に乗ってしまったんです。そこから目標がないまま、ただ流れ作業を2年ほど行っていました。もちろん「このままでいいのかな?」という気持ちを持ちながらです。

ただスタッフの妊娠出産で状況が変わりました。2人同時に産休に入ったんですね。仕事に戻りたい気持ちを他のメンバーも理解してくれていたので、皆でカバーして仕事の量を減らさず頑張っていました。その期間、当然残ったメンバーに負担をかけることになります。結果、メンバーの体はボロボロになっていきました。

その時に初めて「スタッフのために、仕事がしやすい環境などを整えなくては!」と思いました。私以外のスタッフは全員女性。業界的には女性の活躍が必須であるにも関わらず、サポートできる仕組みがない。そんな女性スタッフが長く、安心して働ける環境を作ることが、自分の役目。そう気づいたんですね。

(取引先での運動指導の様子)

自分の役目を見つけてから、気づいたことがたくさんありました。まずスタッフは取引先に行く前に大量の事前準備をしていることを知りました。それまではどういった働き方をしているかなんて正直知りませんでした。「確かに肉体的にはきついかもしれないけど、好きなことやっているわけだし…」とスタッフのことなんて考えてなかった。

自分の知らないところで、スタッフは時間を使って、お客さまにいいものを提供するために、万全の準備をしてくれていたんです。経営者として恥ずかしかったですね。

経営者として「したいこと」を探すのではなく、「すべきこと」を認識した時期でもありました。

 

愛知県の健康課題、そして株式会社aiderが社会に与える影響

“健康経営” という言葉を聞いたことがある方もみえると思いますが、我々も10年ほど前から企業の健康づくりに携わるお仕事が増えてきました。以前、お取引先の保健師さんより「東京はいいのよ、歩くから」、「名古屋は車文化だから、運動を習慣化させることが難しい…」とご相談いただいたことがあります。地域や環境、ワークスタイルによって体を動かす機会が想像以上に削られているんだと実感しました。この地域で、我々がお役に立てることがまだまだあると感じています。

確かに日本のフィットネス人口は3%〜4%程度と言われていますが、残りの97%の中には、健康づくりのサービスを必要としている方も多く存在しています。一方医療費は年々上がっていて、運動したほうがいいとわかっているのに何もしていない人がいるというのが実情です。この97%の新しい部分のシェアを開拓することが、世の中のニーズに応えることであり、かつビジネスとしても成立することだと思ったんです。



株式会社aiderはelever la vie〜エルヴェラヴィ〜という愛知県の野菜を使ったスイーツのお店も運営しています。“食” というカテゴリーから見ても、愛知県は課題を抱えています。

愛知県の野菜生産量は全国上位にも関わらず、野菜の消費量は最下位なんです。それだけでなく愛知県は工場が多いため、すぐ食べることができる丼物を取ることが多い。サラダを食べる、汁物を取るなどの定食習慣を促すのが難しいと、ある保健師さんから伺ったことがあります。

elever la vieが提供する『食』、Lifitが提供する『運動』、これらを97%の方向けに垣根を下げ、いままでそういった分野に無縁だと思っていた人に対して、適切に編集・演出して提供するということをしていきたいと思っています。

『絶品!トマトのショートケーキ』愛知の野菜で食の楽しさを広げる~elever la vie(エルヴェラヴィ)吉川シェフ~

2018.01.10

 

将来の株式会社aiderは?

今後はLifit(運動部門)でもelever la vie(食部門)でもB to Bの仕事を増やしていきたいと思っています。

elever la vieでは出張料理や、カフェに料理やスイーツを提供したり、企業向けにケータリングを行ったりしています。フレンチの料理人が、野菜を使ったヘルシーで美味しい料理を作り、そういった料理が広がったら、野菜を提供できる先が増えます。つまり野菜を届けられる人が増え、より健康な世の中を作ることに近づいていけると信じています。

Lifitでは、まず企業内(オフィス・工場など)での運動機会の創出を第一に考えています。特別な場所や時間を捻出せずに行えるサービスから、じっくりと取り組む健康づくり教育まで、企業の環境やワークスタイルに合ったコンテンツを増やしています。

その他、企業の方と一緒に健康をテーマにした地域向けイベントなども行いたいと思っています。フィットネス業界の人間が「フィットネスいいですよ!」と言っても、なかなか広がらないのが現状です。しかし、これを他業種の企業の方、例えばスーパーや飲食店、アパレルや自動車メーカーなど、ライフスタイルと密接に関わりのある業種とコラボすることで一気に地域の方との距離が近くなります。

実際、健康をツールとしてお客さまと繋がりたいという要望をいただく機会が増えています。しかしこういった想いがあっても、「提供の仕方がわからない」と今まではできなかったそうです。ただ我々であればユニークな形で健康づくりを提供することができます。

健康づくりをテーマに色々な繋がりをつくる、まさしく今後のaiderでやっていきたいことです。

 

株式会社aider公式HP

elever la vie〜エルヴェラヴィ〜公式HP

 

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