D・カーネギーの「人を動かす」には、周囲への影響力を高めて、味方を増やすための方法論が整理されています。
「人を動かす」の「人」には顧客、従業員、同僚、上司、親、子、友人・・・とあらゆる人間関係に属する「人」が入ります。
しかし、本当に重要なのは「自分」という「人」がまず動くこと。
言うことを聞いてくれない相手に困っている方へ、自分の弱点を見せることで未来を変える方法を見ていきましょう。
★相手の為を思っているのに…というのは独りよがりかも
まずは、今の自分の現状に当てはまることがあるかを見てみましょう。
言うことを聞いてくれない部下がいて困っている
パートナーが思った通りに動いてくれずに喧嘩してしまう
「上から目線だな」と人から言われたことがある
「もっとこうしたほうがいいよ!」と素直に相手に伝えている
どうですか?
仕事でもプライベートでも、「相手にしてほしいこと」を必ずしも相手がちゃんと聞いてくれるとは限りませんよね。
相手の為を思って「もっとこうしたほうがいい」と伝えても、相手は聞く耳を持たなかったり、部下を育てようとしているのに気持ちが伝わらなかったりと、悩みは広がるばかりですよね。
相手の為を思っているのに、気持ちが伝わらず、逆に相手に嫌な態度を取られると、こっちも嫌な気持ちになってしまいますよね。
人の考えを変えるというのは難しいものだな…と悩んでいる方も多いでしょう。
しかし、そんな時には自分のセリフをもう一度見直してみましょう。
独りよがりのセリフになっていませんか?
人は頭ごなしに否定されたことは中々受け入れようとはしません。
逆に「この人に共感できる」と思わせることで、簡単に人の考え方を変えることができるようです。
人に小言を言う場合、謙虚な態度で、自分は決して完全ではなく、失敗も多いがと前置きして、それから間違いを注意してやると、相手はそれほど不愉快な思いをせずにすむものだ。
『人を動かす』D・カーネギー P.281
よく、相手に注意する時は、まず褒めてからと言いますが、カーネギーによるともう一つ工夫が必要なようです。
それが、相手の顔を立てることです。
「私もよく間違えるんですが…」「私も昔失敗したんだけど…」そんな一言を添えてあげるだけで、相手の共感を得ることができ、聞く姿勢を作ることが出来ますね。
次の章で詳しく見ていきましょう。
★自分の弱点を見せることで、未来を変えよう!
カーネギーは人を変えるためには9つの原則があると言っています。
【人を変えるための9つの原則】
- 苦言の前の心から褒める
- 直接的な批判はしない
- 自分の失敗を話す
- 命令をせず、質問をする
- 相手の面目をつぶさせない
- どんな小さなことでも褒める
- よい評価を先に与える
- 長所を褒めて激励する
- 喜んでしてもらうよう工夫する
人の行動を変えようとするときに、どうしても「自分が正しい」「上から注意する」こんな形になりやすです。
ただ、一番気を付けるべきは「対等に話すということ」です。
対等に話すことを気を付ければ、命令するのではなく、質問形式になるし、自分の弱みを見せるのも簡単ですよね。
相手に良い気分で、行動を変えてもらうためにはどうしたらいいかを考えていくと、すべてうまくいくでしょう。
相手に美点を発揮させたければ、彼がその美点を備えていることにして、公然とそのように扱ってやるのが良い。
良い評判を立ててやると、その人間はあなたの期待を裏切らないように努めるだろう。
『人を動かす』D・カーネギー P.303
【言うことを聞かない後輩C君に困っているAさんの場合】
(悪い例)
清潔ですか?この髪型とか格好良くないですか?デキル社会人って感じで
そんなわけないでしょ、そんな髪型で取引先に行くなんて、ありえないわ!
Aさんって流行全然わかっていないですよね。
(良い例)
C君、最近書類の処理スピード上がったわね。
そうっすか!最近頑張っているんですよ!
髪型も、カッコいいね。いつも朝セットしてきているの?大変でしょ!
いや、そんなことないですよ! ダサイ社会人じゃなくて、かっこよくてデキル社会人って思われたいじゃないですか!
確かに、人に見られるから身だしなみってすごい大事だよね! 今度C君が会う、取引先の人と先日お会いしたけど、C君の話をしたら、会うの楽しみにしていたよ! 「きっとしっかりした好青年なんだろうね」って言っていたわよ。 ちなみにC君は、なんでその髪型がデキル社会人だよ思ったの?
だっておしゃれはファッション雑誌に載っていたんですよ!
そっか、ファッション誌に載っていたからなんだね。 私も昔は、ファッション誌に載っているような、ちょっと明るい色に髪を染めて、スーツもそれに合わせてイケイケな洋服着ていたんだよね。
へー、Aさんもやりますね。
そうしたら、取引先の人に「そんな相手とは会えません。」って嫌な顔されてしまったんだよね。 私たちの仕事って、昔からある商品を扱うから「そんな服で来るな!」って… C君も、今凄く仕事頑張っているからこそ、取引先の人とかにも「ここの社員さん信頼できるなって」って思ってもらいたいんだよね。
確かにそうですね。ちょっと自分の髪型も見直してみます! ありがとうございます。
このようにAさんは、C君を否定することから入るのではなく、共感し、評価することから話を始めています。
また、自分の失敗談を話すことで、C君も遠回しに自分の非を認める形になっているんですね。
相手を批判することなく、相手が望む方向に動いてくれることは、一番穏便で、お互いが気持ちいいですよね。
是非実行してみてください。
(参考)
デール・カーネギー「人を動かす」1937年
「まんがでわかるD・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」2015年(宝島社)
まんがでわかる D・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」 (まんがでわかるシリーズ)
C君いつも言っているけど、もっと清潔な格好はできないの?