D・カーネギーの「人を動かす」には、周囲への影響力を高めて、味方を増やすための方法論が整理されています。
「人を動かす」の「人」には顧客、従業員、同僚、上司、親、子、友人・・・とあらゆる人間関係に属する「人」が入ります。
しかし、本当に重要なのは「自分」という「人」がまず動くこと。
今回はつい言い返してしまう…と自己嫌悪している方へ、議論を避けることで未来を変える方法を見ていきましょう。
★言い返して、議論した先になにを求めていますか?
まずは、今の自分の現状に当てはまることがあるかを見てみましょう。
相手が間違ったことを言っていると指摘したくなる
ちょっとのことでも馬鹿にされたように感じる
自分の意見を通したいと感じている
議論に勝つとなんとなく気持ちがいい
どうでしたか?
仕事でもプライベートでも、相手が間違ったことを言っていたり、自分の意見に賛成しない人がいると「そうじゃなくて・・・」「それは間違っていますよ!なぜなら・・・」と正しい意見を言いたくなる場面がありますよね。
気の許せる相手だからこそ、反論してしまうこともあると思います。
また、自分の意見に自信を持っていたり、責任を持っているからこそ、正しい意見を伝えたくなる場面もあるでしょう。
しかし、そこで一歩考えてほしいことがあります。
それは「その議論に勝つことで、あなたは何を求めているんですか?」ということです。
そもそも、相手の間違えを何のために指摘するのだ・・・
相手の同意を得るために?とんでもない!
相手は、自分の知能、判断、誇り、自尊心に平手打ちを食らわされているのだ。
当然、打ち返してくる。
考えを変えようなどと思うわけがない。
傷つけられたのは論理ではなく感情なのだから。
『人を動かす』D・カーネギー P.167
カーネギーも言っているように、議論に勝ったとき、自分の気分は凄く良いと思います。
しかし、相手の気持ちはどうでしょう。
理論的には議論に納得せざるを得なかったとしても、気持ちの面ではいい気分にはなりませんよね。
さらに相手のことが嫌いになってしまったり、今後関わりたくもないとマイナスな感情ばかりになってしまうかもしれません。
目先の快感を求めて、大切なことを逃していませんか?
★相手をやっつけずに、議論を避けることで未来を変えよう!
カーネギーは人を説得する原則を12つ上げています。
その中で一番大切にしていることが「議論を避ける」ということです。
議論を避けることでどのように未来が変わるのでしょうか?
議論を避けるためのポイントを確認して見ましょう。
【議論を避けるためのポイント】
- 相手の間違いではなく、自分の間違いを謝る
- 会話のスタートは否定からではなく同意から
- 友好的に話をする
- 相手の意見に共感をする
- 意見を言う際は「私が間違っているかもしれませんが…」「多分ですが…」と自分が正しいとは伝えない
議論を白熱させてしまうことで、相手は「反発」「敵対」「憎しみ」など負の感情を抱き、結果的に「あいつは気に食わない。何を言っても認めないぞ。」という態度を取らせてしまいます。
「売り言葉に買い言葉」って皆さんも経験ありますよね。
しかし、議論を避け、自分の過ちを認め、相手に共感することで、相手は「話の分かる人だ。向こうの言い分にも一理あるな」と「好意」「協力」「有効」などプラスの感情持たせることが出来るんですね。
人と話をするとき、意見の異なる部分を初めに取り上げてはならない。
まず意見が一致している問題から始め、それを絶えず強調しながら話を進める。
『人を動かす』D・カーネギー P.205
【同僚のBさんに対してつい言い返してしまうAさんの場合】
(悪い例)
(良い例)
今後このようなことのないように気を付けていきます。
その案だったら私以外の人もスケジュールとか間違えないようになりますね。
このように、Aさんは自分の非をまずしっかり謝ることによって、Bさんに「私も悪かった」という気持ちにさせています。
悪い例ではお互い「相手が悪い!」の一点張りで、議論が先に進みそうにもありませんし、後味が悪いですよね。
特に同じ目的を持った相手同士であれば、相手の気持ちに共感し、自分が「大人になってあげる」ことで、議論がスムーズに進むようになるでしょう。
(参考)
デール・カーネギー「人を動かす」1937年
「まんがでわかるD・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」2015年(宝島社)
まんがでわかる D・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」 (まんがでわかるシリーズ)