「ふらふらする…」貧血の症状・原因・栄養対策

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★貧血の症状と原因

 

「ふらふらする…」

特に女性に多い貧血。

日本人女性の内、約1000万人が「貧血」もしくは、「貧血予備軍」に該当しているそうです。

では、貧血の原因にはどういったものがあるのでしょうか。

 

貧血の症状

 

貧血は、血液中の赤血球に含まれているヘモグロビンが不足するために起こります。

ヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ役割をしているので、これが不足すると全身の組織や臓器が酸欠状態になります。

症状には以下のようなものがあります。

〜貧血の症状〜

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 動悸
  • 息切れ
  • だるさ

 

貧血の種類と原因

 

一口に貧血といっても、様々なパターンの貧血があります。

〜貧血パターン①:鉄欠乏性貧血

  •  貧血の70%は鉄欠乏症貧血
  •  ヘモグロビンの原料である鉄の不足によって起こる
  •  月経のある女性に多くみられる
  •  爪が反り返ったり、髪がバサついたりする。

 

〜貧血パターン②:巨赤芽球性貧血

  •  ビタミンB12や葉酸不足によって起こる
  •  正常な赤血球が作られなくなる
  •  悪性貧血とも呼ばれる

 

〜貧血パターン③:腎疾患による貧血

  •  腎疾患により赤血球が作れなくなる
  •  赤血球を作るホルモン、エリスロポエチンの産生が低下することによって起こる

 

〜貧血パターン④:溶血性貧血

  •  外的な刺激などで赤血球が壊れて、ヘモグロビンが流れ出してしまうことで起こる
  •  健康な人の赤血球の寿命は120日程度で、アクシデントがなければこの貧血になることはない
  •  マラソン選手や長距離歩行の選手にみられる

 

〜貧血パターン⑤:再生不良性貧血

  •  血液を作る骨髄の働きが低下することによって、赤血球を含む血球が作られなくなる病気
  •  難病指定されている
  •  医師の指示に基づいて治療する必要がある

 

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★貧血と健康診断の数値

 

健康診断と貧血の判定

 

健康診断で行われる血液検査の中で、貧血の判定に用いられるのは、赤血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値の3種です。

以下は貧血測定の基準値なので、それぞれ基準値以下になると貧血となります。

 


赤血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値とは???

 

簡単に言うと、赤血球数とヘモグロビン値は酸素を運ぶ能力を表していて、ヘマトクリット値は血液の濃さを表す数値です。

詳細は以下です。


この中で一番重要なのは、『ヘモグロビン値』だと言われています。

血液の赤い色はヘモグロビン(血色素)によるもので、赤血球の働きの中心を担っています。

ヘモグロビンが少ないと、赤血球量が正常でも貧血症状を起こす場合があります。

 

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★貧血になっている人への栄養対策と目標

 

貧血の栄養対策

 

ヘモグロビン値の低下があるときは、大きく2つの可能性を疑ってみてください

①腎疾患による貧血

②鉄欠乏性貧血

少し栄養対策が異なるので、詳細見てみましょう。

 

①腎疾患による貧血

対策

タンパク質が有効に使われるように、十分なエネルギーをとり、その上でヘム鉄のサプリメントで補う。

 

②鉄欠乏性貧血

対策

鉄分を多く含む赤身の肉や青魚、ひじきなどで貧血体質を改善する。

 

成人女性の10%がなるという、月経出血による鉄分不足の場合は、基本鉄欠乏性貧血と同じですが、合わせて緑黄色野菜を必ずとるように心がけましょう。

そもそもなんで鉄分が大切なの? ヘム鉄・非ヘム鉄のヒミツ

 

「ヘム鉄?」

大まかな栄養対策は分かりましたが、「そもそもなんで鉄分が大切なのか?」という疑問が出る人もいると思います。

少し難しい内容なので、気になった人は読んでみてください。

 

赤血球の中にはヘモグロビンが存在しています。

そのヘモグロビンは、ヘム鉄とグロビンというタンパク質でできています。

このヘム鉄が、酸素を身体のすみずみまで運ぶ役割を担っています。

ただ、ヘム鉄と似たようなもので非ヘム鉄というものもあります。

これらは何が違うのでしょうか?

 

ヘム鉄は豚レバー・鳥レバーなど赤身の肉に多く含まれています。

一方非ヘム鉄はほうれん草・小松菜など野菜や穀物に多く含まれています。

上図からわかる通り、ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも吸収率が高いのが分かります。

ただ日本人が食事から摂取する鉄の85%以上が吸収率の低い非ヘム鉄になっています。

だからこそサプリメントなどで補う必要があったのですね。

では、なぜヘム鉄の方が吸収率が高く、非ヘム鉄の方が吸収率が低いのでしょうか?

非ヘム鉄は通常むき出しになったFe(鉄)そのものを表しています。

この非ヘム鉄は上図の通り、食物繊維や緑茶などによく含まれているタンニンに腸管で吸収阻害されてしまいます。

一方ヘム鉄は腸管で吸収阻害されず、小腸粘膜上皮細胞内にて非ヘム鉄の吸収過程と合流します。

非ヘム鉄で生じる吸収阻害が起こらないからこそ、ヘム鉄の方が吸収率が高かったのですね。

また非ヘム鉄はむき出しになったFeが胃粘膜や胃壁を荒らす場合もあります。

 

最後に貧血の種類と栄養素の関係、そして赤血球ができるまでの過程を図で全体把握してみましょう。

以下のようになっています。

 

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★これってどうするの?Q&Aコーナー

 

「理論的な対策は分かったけど、こんな時どうしたらいいんだろう?」

「理想論はわかるけど…」

という声にお答えして、Q&Aコーナーを作成しました。

Q1. 腎臓が悪いときはどうしたらいいですか?

Best!!

腎疾患が原因の貧血は、肉などのタンパク質を多くとるわけにはいかないので、ヘム鉄のサプリメントで鉄分を補います

Better!

なし

 

Q2. 妊娠中で少し貧血になっているみたいです。

Best!!

妊娠中は貧血を起こすこともあります。

そしてその多くは鉄欠乏性貧血です。

非ヘム鉄の吸収促進のためにビタミンC、ヘム鉄食品を摂取するようにしましょう。

Better!

赤身の肉や青魚など、動物性タンパク質を少しずつ増やしてみるようにしましょう。

 

Q3. ダイエットして貧血になりました。どうしましょう?

Best!!

腎疾患ではないのに、ヘモグロビン値が低下した場合は、鉄分の多いタンパク質の摂取を減らしたか、タンパク質がエネルギーとして使われた可能性が高いです。

減量が必要であれば、鉄分の多い赤身の肉、青魚を今より多く食べましょう。

Better!

痩せるつもりがないのに体重が減った場合は、牛肉、豚肉、魚などのタンパク質源を今より多く食べましょう。

難しい場合は、ヘム鉄をサプリメントで摂取したり、緑黄色野菜の摂取もしてみましょう。体重を増やしてもいい場合は、タンパク質源を毎食摂取できるように心がけてください。

 

貧血が続くと日々の生活がままならなくなります。

食事で鉄を摂取し、体調管理に注意していきましょう。

健康は失ってから、初めてその大切さに気づくものです。

健康第一という気持ちで、自分のコンディションを整えていきましょう。

 

(参考)足立香代子「栄養学の基本がまるごとわかる事典」2016年(西東社)


決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典

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