【仕事で役立つ心理学】 無茶なお願いでYESを引き出せ!「ドア・イン・ザ・フェイス」の紹介と実践例

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★「ドア・イン・ザ・フェイス」とは?

 

仕事で何かお願いごとをしないといけない時ありますね。

「この件は、〇〇さんに任せて私は早く合コンに行かないと…!?」、「早く帰って子供と遊ばなきゃ!!」みたいな。

しかし頼みたいことの中には、「こんなの頼んでも絶対手伝ってくれないよ」と思うような無理めなお願いってありますよね?

そんな時に役立つ心理テクニック、「ドア・イン・ザ・フェイス」を紹介します。

 

まずドア・イン・ザ・フェイスをするに当たって、自分がお願いしたい内容よりさらにハードルが高いお願いごとを用意します。

そして以下の2段階で進めます。

①自分が依頼したい内容よりハードルが高いお願いごとを先にする

②もともと自分がお願いしたいことを頼む

という流れです。

そうすることで①は嫌だけど、②はいいよという返事をしてくれる確率が高くなるのです。

 

これは実際に心理学の実験でも実証されています。

心理学者のチャルディーニは、ある大学生のグループに対して、「非行少年を動物園に連れて行きたいんだけど、2時間ほど引率のボランティアをしてくれない?」と頼みました。

なかなかOKとは言えないお願いですね…実際にOKと言ってくれた学生は、たったの17%だったそうです。

 

一方別の大学生のグループには、ドア・イン・ザ・フェイスを実行しました。

まず「毎週2時間、二年間に渡って非行少年のカウンセリングをしてくれない?」とよりハードルの高いお願いをしました。

これは先ほどのお願いより、かなりハードルが上がってますね。

1回限りだったものが毎週になっていて、かつ二年間。これはしんどいです。

実際にこんな負担の大きな依頼にOKしてくれる学生は皆無でした。

ただ2段階で攻めるのがドアインザフェイスです。

この後に、「だったら2時間でいいから、非行少年を動物園に連れて行くボランティアをしてくれないかな?」と先ほどと同じお願いをしてみました。

すると50%もの学生がOKしてくれたのです。

受諾率17%→50%の跳ね上がりは凄まじいですね。

実際に様々な場面でドア・イン・ザ・フェイスは使われています。訪問販売とか。

そもそもドア・イン・ザ・フェイスという用語は、玄関先でお客さんと対面しながら、よくこの手法を用いて商品を売ろうとすることに由来しています。

 

★「ドアインザフェイス」の実践例

 

では、仕事での実践例を見ていきましょう!

 

早く合コンに行きたいKONKATSUさんの場合

 

KONKATSUさん

(心の声)

今15時ね。今日の合コンは19時からだけど、それまでには仕事終わらせられそうだわ!今日は医者も弁護士来るんだよね〜。服装にも気合い入れてきたから、頑張っちゃおう!

部下くん

(心の声)

KONKATSUさん今日めっちゃ派手っすね…

そんなん言ってる場合じゃない!今日はお客さんへの電話がけしないと。

KONKATSUさん

(心の声)

やばっ!明日のMTGで必要な資料をすっかり忘れてた…このままだと19時開始の合コンに間に合わない。よし部下くんに手伝ってもらおう。でも電話がけ大変そうだな。半分くらい書いてくれたら嬉しいけど、部下くんの得意な市場調査の部分だけでも書いて欲しいな。あれだけでも20%ぐらいあるしな。ドア・イン・ザ・フェイスを使おう!

 

「部下くん、明日のMTG資料なんだけど、半分書いてくれない??」

部下くん

(心の声)

いやいや、今電話かけてるし無理でしょ。しかも明日までに半分仕上げるとか…鬼畜

 

「すみませんが、今電話かけてるので…」

KONKATSUさん

(心の声)

そっか…残念。ただドア・イン・ザ・フェイスはここで終わりじゃないわ。

 

「忙しいとこごめんね。だったら、市場調査のとこだけでもお願いできないかな?」

部下くん

(心の声)

なんか申し訳ないな。市場調査の部分だったら得意だし、引き受けよう。それに元々半分だったのが市場調査の部分だけにできたしね。

 

「わかりました!市場調査の部分だけなら頑張ります。」

KONKATSUさん

(心の声)

やった〜!うまくいった!これで今日合コン行けるわ!

 

「ありがとう!市場調査の部分よろしくね。」

 

★「ドアインザフェイス」実践に際しての注意点

 

先ほどのKONKATSUさんの実践例には大切なポイントがあります。

それは、

最初のお願いは、ハードルを極端に上げすぎず、「ちょっと無理め」なものにする

です。

その理由は2つあります。

1.「吹っかけてきてる感」がなくなる

2.「譲歩を引き出せた」と、部下くんに思わせること

先ほどの例をもう一度見てみましょう。今回KONKATSUさんは以下のように2段階のお願いを作っています。

①MTG資料の内、半分(50%)作成して欲しい

②MTG資料の市場調査の部分だけ(20%)作成して欲しい

この①の部分を「ちょっと無理め」にすることが大切です。

これがハードル高めにしすぎると人によっては「こいつ、吹っかけてきてるな」と思わせてしまいます。

今回は上司の依頼なので断れないこともあるかもしれませんが、関係は悪くなります。

またこのテクニックは会社内だけではなく、他社との交渉でも使えるので、例えば価格を以上に釣り上げてしまうと「吹っかけてきてるな」となり信頼は無くなります。

そしてこの「吹っかけてきてる感」は人によって感じ方が違う部分なので、相手をしっかり理解した上で実践する必要があります。

 

また「ちょっと無理め」に設定すると①の部分で断られても、依頼側(今回であればKONKATSUさん)は残念な気持ちが出ます。

ここで全くがっかりしていない感じが出ると、先ほど説明した「吹っかけてきてる感」が出てしまいます。

少し無理なお願いにすることで依頼側も残念な気持ちが出て、「本気のがっかり感」が相手(部下くん)に伝わります。

すると、相手からすると「譲歩を引き出せた」、「交渉に勝った」、「こっちの意図を飲んでもらったから返さないと(返報性の原理)」という気持ちになり、快くお願いを受けてもらえるようになります。

そうすることで、依頼した内容を引き受けてくれる確率が高くなるだけでなく、関係がこじれることがなかったり、積極的に約束を果たそうとして質の高い仕事をしてくれたりします。

 

人間関係を保ちつつ、いい仕事をするために心理学はとても力になってくれます。

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こういったテクニックは頭で理解するだけでなく、実践例や注意点を参考にして、自分でやってみることが大切です。

 

自分の心の余裕にも繋がりますので、やってみてはいかがでしょうか。

 

(参考)

Daigo 「ワンコイン心理術」 2016年(PHP研究所)

 

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